転勤や海外赴任が決まったとき、多くの方が悩むのが「自宅をどう管理するか」という問題です。
「知らない人に貸すのは抵抗がある」
「いずれ戻る予定だから売却はしたくない」
と考え、住まないまま維持するケースは珍しくありません。
しかし、人が住まない家は想像以上のスピードで劣化し、防犯・防災面のリスクも高まります。適切に管理しなければ、資産価値の低下や法的トラブルにつながる可能性もあります。
この記事では、留守宅管理を放置するリスク、自己管理の方法、専門サービスを利用するメリットを、第三者目線でわかりやすく解説します。
転勤・赴任中の住まいをどう守るべきか、判断材料として役立ててください。
1.留守宅(空き家状態の自宅)を放置するリスク
「数年で戻るから大丈夫」という考えは非常に危険です。
住宅は人が住み、空気が循環し、日常的に手入れされることで健全な状態を保てます。放置された家は、外観・内部ともに痛み始めます。
防犯・防災リスクと所有者責任
管理されていない家は、外観からすぐにわかります。ポストに溜まった郵便物・伸び放題の庭木・汚れが目立つ窓などは、「無人の家」であることを示すサインです。
その結果、以下のようなリスクが高まります。
- 犯罪リスク:空き巣、不法侵入、放火のターゲットになりやすい
- 防災リスク:地震や台風で屋根材が飛散し、近隣住宅や歩行者に損害を与える危険性
- 所有者責任:工作物責任(民法717条)により、過失がなくても賠償責任を負うケースがある
特に自然災害時、飛散物が隣家の車や人に被害を与えれば、数百~数千万円規模の賠償に発展することもあります。
資産価値の低下と「特定空き家」指定のリスク
建物の劣化は、内部からも進行します。換気が行われない室内では湿気がこもり、カビが発生して柱や梁といった構造材を腐食させます。
一度カビや腐食が進行した家を住める状態に戻すには、数百万円の修繕費が必要になることもあります。
さらに、2023年12月の法改正により、従来の「特定空き家」に加えて、その前段階である「管理不全空き家」という区分が新設されました。
具体的には、以下の内容で分類・指定されます。
- 特定空き家:倒壊の危険が著しいなど、深刻な状態。
- 管理不全空き家:放置すれば特定空き家になる恐れがある状態。
これらに指定され、自治体からの改善勧告に従わない場合、固定資産税の優遇措置(住宅用地の特例)が解除されます。
結果として、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があるのです。
留守宅を適切に管理することは、精神的な安心だけでなく、家計を守るためにも不可欠です。
2.【実践編】費用を抑えて自分で留守宅を管理する方法

「できるだけコストを抑えたい」という理由で、自主管理を選ぶ方もいます。
ここでは、最低限必要な作業と、転勤・海外赴任前に準備すべきことを整理します。
月1回の巡回で行うべき作業
留守宅を管理する際には、少なくとも月に1回は現地を訪れ、以下の作業を行うことが推奨されます。
- 換気:全ての窓・押し入れ・クローゼットを全開にし、30分〜1時間空気を入れ替える
- 通水:全蛇口を1〜2分流し続け、配管内の錆や下水の臭気・害虫侵入を防ぐ
- 雨漏り・腐食確認:天井のシミや壁の変色をチェック
- 外周確認:不法投棄、庭木の越境、郵便物の整理
これら一つひとつは単純な作業に見えますが、真夏や真冬に一人で家中の窓を開け閉めし、水回りを掃除して回るのは、半日がかりの重労働になることもあります。
また、巡回時に鍵のかけ忘れなどのミスが発生し、トラブルを招く可能性もあるでしょう。
仕事やプライベートに支障が出るようなら、専門のサービスに依頼して管理を委託することも一つの選択肢になります。
転勤・海外赴任前に済ませておくべき準備と必要な道具
転勤・海外赴任前に、以下の手続きや準備が必要です。
- ライフラインの契約見直し:
電気はセキュリティや通水のために契約を維持(アンペア数を下げるなど)し、水道も通水のために維持する。ガスは閉栓するのが一般的。 - 郵便物の転送手続き:
郵便局での転送設定は1年ごとに更新が必要。 - 火災保険の確認:
空き家状態になると保険料率が変わったり、契約が解除されたりする場合があるため、必ず保険会社へ「空き家になる」旨を通知する。 - ご近所への挨拶:
緊急時の連絡先を伝え、何かあった際に知らせてもらえる関係を築いておく。
また、巡回時に必要な道具(掃除用具、懐中電灯、脚立、防寒着、虫除け記録用カメラなど)も揃えておくと安心です。
3.自主管理・親族依頼に潜む「見えないコスト」

自分で管理する、あるいは親族に頼むという選択は、低コストで行える方法に思えるかもしれません。
しかし、実際には「時間」「労力」「精神的負担」「緊急時対応」「関係性の悪化」など、目に見えないコストが積み重なり、長期的には大きな負担となるケースが少なくありません。
ここでは、自己管理や親族依頼が抱える課題を、より具体的に掘り下げて解説します。
遠方・海外からの管理が難しい理由
「月に1回帰省して管理すればいい」と思っていても、実際に継続するのは容易ではありません。
(1). 経済的コストは想像以上に大きい
新幹線代・ガソリン代・高速代など、往復の交通費は積み重なると大きな負担になります。
例えば、往復1万円の交通費でも、月1回の巡回で年間12万円。
さらに、現地での食事代や雑費も加われば、専門サービスの利用料を上回るケースも珍しくありません。
(2). 時間的コストが生活を圧迫する
留守宅の巡回は、移動時間に加えて、換気・通水・清掃・点検などで半日以上かかることもあります。
そのため、
- 「貴重な休日が潰れる]
- 「家族との時間が削られる」
- 「仕事の疲れが取れない」
といった生活面の負担が蓄積します。
(3). 緊急時に対応できない
地震・台風・大雨などの災害時、すぐに駆けつけられないことは大きなリスクです。
「次に行ったときには被害が拡大していた」というケースは十分に起こり得ます。
特に海外赴任の場合は、物理的に管理が不可能であり、日本国内に信頼できる協力者がいない限り、結果的に放置してしまうことになるでしょう。
親族への依頼で発生しがちなトラブルと精神的負担
「親や兄弟に頼めば安心」という考えは、実は大きな落とし穴があります。
(1). 親族は“プロ”ではない
屋根のズレ、外壁のひび割れ、給湯器の異音など、劣化の初期サインは専門知識がないと見逃しがちです。
見逃した結果、修繕費が膨らむこともあります。
(2). 気を遣う関係性がストレスになる
親族に頼むと、次のような問題が起こりやすくなります。
- 頼む側:「忙しいのに申し訳ない」「ちゃんと見てくれているだろうか」と不安
- 頼まれる側:「自分の家ではないのに負担が大きい」「責任が重い」とストレス
さらに、管理が疎かになっても強く言いづらく、関係がぎくしゃくすることもあります。
(3). 親族の高齢化という“時間差リスク”
親族が数年後に高齢になり、
- 重い窓の開け閉めができない
- 脚立に登れない
- 長距離移動が負担
といった状況になる可能性もあります。
管理中の転倒や怪我など、予期せぬトラブルが起こるリスクも無視できません。
総務人事の視点:従業員の負担が業務に影響する可能性も
企業の総務・人事担当者にとっても、従業員の留守宅管理は無関係ではありません。
- 帰省による疲労でパフォーマンスが落ちる
- 緊急帰国・緊急帰省が必要になり、業務に支障が出る
- 家のトラブルがストレスとなり、メンタル面に影響する
- 海外赴任者の不安が増し、赴任意欲が下がる
こうした問題は、企業にとっても見過ごせないリスクです。
そのため、従業員の留守宅管理をサポートする企業が増えているのも自然な流れと言えます。
4.専門サービスを利用するという選択肢
留守宅管理は、定期的な巡回や点検だけでなく、長期的な資産維持という観点でも専門性が求められます。
そのため、転勤者向けの住宅管理を長年扱ってきた専門業者に依頼するケースが増えています。
こうした業者の中には、単なる「見守り」だけでなく、留守宅を短期・長期で貸し出して収益化する仕組みを提供しているところもあります。
これは、転勤・海外赴任・相続などで長期間家を空ける人にとって、非常に合理的な選択肢です。
管理と賃貸を組み合わせた“留守宅の有効活用”という考え方
一般的な空き家管理サービスは、巡回・点検・清掃などの「維持」が中心です。
一方、転勤者向けの住宅管理を専門とする業者では、留守宅を賃貸に出して家賃収入を得ながら、管理も代行する仕組みを提供している場合があります。
この仕組みの特徴は次のとおりです。
- 定期借家契約を活用し、帰任時に確実に家を返してもらえる
- 転貸方式により、入居者募集から契約・管理までを一括で任せられる
- 大手企業の法人契約を中心に入居者を確保するため、トラブルが少ない
- 家賃収入で固定資産税や管理費を賄えるため、実質的な負担が軽減される
つまり、「家を空けている間に収益化しつつ、帰任後は元の家に戻れる」という、転勤者にとって理想的な仕組みなのです。
選べる巡回頻度と透明性の高い管理体制
賃貸に出さず管理だけを依頼する場合でも、専門業者は換気・通水・点検・郵便物整理など、必要な作業をすべて代行します。
多くのサービスでは、以下のようなメニューが用意されています。
- 換気・通水
- 室内外の点検
- 郵便物の整理
- 庭木や外周の確認
- 災害時の臨時巡回
月1回の標準プランから、隔月プラン、手厚い管理プランまで、家の状態や予算に合わせて選べるのが特徴です。
巡回後には、写真付きの報告書をWebで確認できるサービスも多く、海外からでも家の状態を把握できます。
災害時の臨時巡回に対応している業者も多く、遠方に住むオーナーにとって大きな安心材料となります。
海外赴任支援との連携で、出発前の負担を軽減
海外赴任支援サービスと連携している企業では、ビザ取得・引越し準備・住まいの管理相談を同時に進められるため、出発前の負担が大幅に軽減されます。
単なる「空き家の見守り」ではなく、オーナーのライフステージに合わせて住まいの活用方法を提案できる体制こそが、専門業者を利用する大きなメリットと言えるでしょう。
まとめ
留守宅管理は、大切な資産であるマイホームを守るために欠かせない取り組みです。
自主管理はコストを抑えられる一方で、継続的な労力や緊急時対応の難しさといった課題があります。
特に海外赴任や遠方への転勤の場合は、専門サービスを利用することで、建物の劣化防止と精神的な安心を両立できます。
また、留守宅を「ただ管理する」だけでなく、転勤中だけ賃貸に出して収益化するという選択肢もあります。
定期借家契約を活用した転貸方式なら、帰任時には確実に自宅に戻れるため、転勤者にとって非常に合理的な仕組みです。
転勤中の留守宅管理や、将来的な空き家活用まで幅広く相談したい方には、リログループの「リロケーション・ジャパン」 が提供する各種サービスが役立ちます。
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