外国籍社員の採用が一般化する中、企業の人事担当者にとって「在留資格」の正しい理解は欠かせません。
在留資格は種類が多く、就労可否や活動範囲が細かく定められているため、誤った判断は不許可や不法就労につながるリスクがあります。
さらに、制度改正や運用の見直しが続く近年では、最新情報の把握がより重要になっています。
本記事では、外国人の在留資格の種類・就労可否・申請手続きの流れ・採用方法・企業が注意すべきポイントを体系的に解説します。
すでに外国籍社員を受け入れている企業はもちろん、これから採用を検討する人事担当者の方もぜひ参考にしてください。
1.外国人の在留資格とは
在留資格とは、外国人が日本で「どのような目的で滞在し、どのような活動ができるか」を定めた法的な資格です。
日本では、出入国管理及び難民認定法(入管法)により、活動内容・在留期間・就労可否などが細かく規定されています。
在留資格は「日本に滞在できる許可」ではなく、「どの活動が認められているか」を示す資格である点が重要です。
そのため、在留資格と実際の業務内容が一致していない場合、たとえ本人に就労の意思があっても違法となる可能性があるので注意しましょう。
企業は、採用時から雇用中まで通じて以下を確認する必要があります。
- 在留資格の種類
- 就労可否
- 活動範囲と業務内容の整合性
- 在留期間・在留カードの有効期限
法務省の統計によると、2024年末時点で日本の在留外国人数は約322万人と過去最多を更新しており(法務省「在留外国人数の推移」)、企業の外国籍社員受け入れは今後さらに増えると見込まれます。
2.在留資格の種類と就労可否
在留資格を正しく理解しないまま採用を進めると、
「働けると思っていた業務が実は認められていなかった」
「更新できず退職せざるを得ない」
といったトラブルにつながりかねません。
ここでは、企業が判断しやすいよう就労可否の観点から在留資格を4つの区分に整理して解説します。
就労に制限のない在留資格(身分系)
在留資格の中には、業務内容や職種に制限なく就労できるものがあります。
「身分・地位に基づく在留資格」と呼ばれ、以下に該当する人は「就労に制限のない在留資格」を得られます。
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
ただし、就労に制限がないからといって、すべての管理が不要になるわけではありません。
在留カードの有効期限や在留資格そのものの確認、労働条件の適正な設定など、基本的な雇用管理は日本人と同様に求められます。
原則として就労できない在留資格
在留資格の中には、原則として就労が認められていないものがあります。
日本での就労ではなく、留学・家族滞在・文化活動などを目的とした在留資格が該当します。
- 留学
- 家族滞在
- 文化活動
- 短期滞在
企業側が特に注意すべきなのは、「アルバイトだから大丈夫」「本人が許可を持っていると言っている」など、曖昧な確認のまま雇用してしまうケースです。
資格外活動許可の有無や内容を確認せずに就労させた場合、外国人本人だけでなく、企業側も不法就労助長罪に問われる可能性があるので注意しましょう。
条件付きで就労可能な在留資格
在留資格の中には、一定の条件を満たす場合に限って就労が認められるものがあります。
就労が全面的に認められているわけでも完全に禁止されているわけでもないため、企業側の判断が分かれやすいのがこの区分です。
- 留学(資格外活動許可を得ている場合)
- 家族滞在(資格外活動許可を得ている場合)
- 特定活動(内容・告示により可否が異なる)
- 技能実習(制度の範囲内での就労に限定)
例えば、留学生や家族滞在者であっても、資格外活動許可があれば週28時間以内のアルバイトは可能です。
一方で、許可の範囲を超えた就労や、フルタイム勤務は認められていません。
ポイントは、「働けるかどうか」だけでなく、どこまで・どの条件で働けるのかを確認することです。
少しでも判断に迷う場合は、事前に専門家へ相談しながらリスクを予防しましょう。
定められた範囲での就労が可能な在留資格
在留資格の中には、あらかじめ定められた業務内容・活動範囲に限って就労が認められるものがあります。
一般的に「就労ビザ」と呼ばれる区分で、専門性の高い業務に従事できます。
- 技術・人文知識・国際業務
- 技能
- 企業内転勤
- 経営・管理
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 介護
- 興行
- 特定技能
定められた範囲での就労が可能な在留資格は、企業にとって専門性の高い人材を採用できる一方、管理を誤るとリスクも大きくなります。
採用前だけでなく、採用後も業務内容が在留資格の範囲内かどうかを継続的に確認することが重要です。
3.在留資格申請の流れ

どの在留資格であっても、適切な手続きを踏まなければ合法的に就労することはできません。
ここでは、企業が関与すべきポイントを中心に申請の流れを解説します。
地方出入国在留管理局での申請
在留資格の申請は、まず地方出入国在留管理局の窓口で書類を提出することから始まります。
この段階では、申請者本人が必要書類をそろえて持参することが求められます。
企業は審査に必要な以下の書類を準備・提供する必要があります。
- 雇用契約書
- 職務内容を示す資料
- 会社概要資料
- 給与・勤務条件の説明資料
窓口では、提出書類の形式や本人確認のためのパスポート・在留カードの確認が行われます。
必要に応じてその場で書類の修正や補足を指示されることもあり、柔軟に対応できるよう、企業側が連絡体制を整えておくと安心です。
ここでの準備が整っているかどうかで、次の審査ステップに進むまでの期間が大きく変わることもあります。
出入国在留管理庁による審査
地方出入国在留管理局で書類が受理されると、次に行われるのが出入国在留管理庁による審査です。
提出された書類をもとに、外国籍社員が申請した在留資格の要件を満たしているか審査されます。
審査で確認される主なポイント:
- 企業の事業内容、安定性
- 雇用条件の妥当性
- 申請者本人の学歴や職歴
- 業務内容と在留資格の整合性
企業側が留意すべきポイントは、審査中に追加資料の提出や補足説明を求められる可能性があることです。
提出期限や内容に不備があると審査が長引いたり、場合によっては不許可になったりするリスクもあるため、迅速かつ正確に対応できる体制を整えておきましょう。
また、審査期間中は、申請内容の変更や追加情報の提出が発生することもあるため、企業側と申請者の間で連絡手段を明確にしておくのがおすすめです。
在留資格認定証明書の交付
出入国在留管理庁の審査が完了し、申請が認められた場合には、「在留資格認定証明書」が交付されます。
在留資格認定証明書交付は、外国籍社員が日本で就労するために必要な在留資格を正式に認められたことを示す、重要な書類です。
交付された証明書は、本人が日本に入国する際や在留資格を変更・更新する際に、入国管理局や在外公館に提出する必要があります。
交付されたら、証明書に記載されている在留資格の種類、活動範囲、在留期間、実際の雇用条件との整合性をチェックしておきましょう。
企業と申請者が協力して、証明書を適切に管理し、内容を確認することで、安心して就労をスタートさせられます。
4.在留資格を持つ外国籍社員を採用する方法
ここでは、在留資格を持つ外国籍社員を採用する主な方法を紹介します。
採用を検討する際、どこで募集をかければよいか、ヒントとしてご参考ください。
求人サイト
在留資格を持つ外国人を採用する際、特に活用しやすいのが求人サイトです。
近年では外国人向けに特化した求人サイトやグローバル人材を対象とした一般求人サイトが増えており、在留資格、日本語レベル、職種に応じた検索ができるようになっています。
自社の募集条件や業務内容に合った人材を効率的に探すことができ、応募者側も自分の資格やスキルに合った求人を見つけやすくなります。
ただし、求人サイトを利用する際には、在留資格に応じた就労の可否や勤務時間の制限について明示することが重要です。
例えば、資格外活動が必要な留学生や家族滞在者を対象に募集する場合は、就労可能な時間や職務内容を正確に記載することで、後のトラブルを防ぎましょう。
自社サイト
自社サイトでは、自社の事業内容、社風、求める人物像を詳しく紹介できるため、応募者に企業の魅力を直接伝えられる手法です。
また、募集条件や在留資格に関する注意事項を正確に掲載できるため、資格に合わない応募や誤解を防ぎやすいのがメリットです。
自社サイトを活用する際は、応募者が在留資格や就労条件を理解しやすいよう、募集要項や業務内容を具体的に明示しておきましょう。
例えば、就労時間の上限や資格外活動の有無など、条件を明確に記載することで後からトラブルになるリスクを減らせます。
ただし、知名度が低い企業は応募が集まりにくいため、その場合は、求人サイトと併用して募集することも検討しましょう。
人材紹介(転職エージェント)
専門的な知識や経験を持つ人材を採用したい場合や、採用手続きの負担を軽減したい場合には、人材紹介の活用を検討しましょう。
いわゆる「転職エージェント」のような人材紹介会社は、外国人の在留資格、スキル、職務経験を確認したうえで紹介してくれるため、ミスマッチを軽減できます。
ただし、人材紹介を利用する際も注意が必要です。
紹介された候補者が持つ在留資格の種類や就労条件は必ず自社側でもダブルチェックし、在留資格に応じた職務内容であるか確認しましょう。
また、紹介手数料や契約条件についても事前に確認し、コストパフォーマンスが高いか判断することも欠かせません。
ハローワーク
ハローワークは、外国籍社員を採用する際にも活用できる公的な求人窓口です。
全国各地にある窓口を通じて求人情報を掲載できるため、地域に密着した人材の募集が可能です。
また、ハローワークには外国人向けの就職相談窓口や日本語支援のサポートがある場合もあり、応募者も安心して情報を確認できるメリットがあります。
完全無料で利用でき、コストを抑えながら安定的に人材を募集できる手段としても有名です。
また、ハローワークを通じて採用した場合でも、契約書や労働条件の確認、入社手続きなどは企業側が責任を持って実施しましょう。
入国管理局主催のマッチングイベント
入国管理局では、外国人材と企業のマッチングを支援するイベントを定期的に開催しています。
イベントでは在留資格を持つ外国人や就労希望者と直接面談できる機会が提供され、企業は応募者のスキルや経験を確認したうえで採用面接につなげられます。
また、イベントには企業向けの相談ブースが設けられることもあり、在留資格や手続きに関する専門的なアドバイスを受けながら採用活動を進められるのが特徴です。
5.外国籍社員を雇用する際に企業が注意すべきこと
外国籍社員を雇用する際には、在留資格管理、労務管理、法令遵守など、さまざまなポイントに注意する必要があります。
在留資格に合わない業務を担当させたり、労働契約や社会保険の手続きを不十分にしたりすると、思わぬトラブルが生じるので意識しておきましょう。
ここでは、外国人を雇用する際に注意すべきことを解説します。
労働条件の共通認識を持たせる
外国人社員を雇用する際は、給与、勤務時間、休日、業務内容などの労働条件について、入社前に企業と社員の間で共通認識を持つことが欠かせません。
言語や文化の違いがある以上、口頭での説明だけでは誤解が生じやすいため、契約書や書面で明確に示すことが必須です。
ポイントは、労働条件を明確化するだけでなく、「相手が理解できる形で説明すること」です。
必要に応じて翻訳や図解を用いると理解度が高まり、円滑な雇用関係の構築につながります。
社会保険・税金の正しい手続き
健康保険、厚生年金、雇用保険、労働保険なども、外国人も日本人同様に加入が義務付けられています。
適切に手続きを行わなければ、企業側にも社員側にもトラブルやペナルティが発生する可能性があるので注意しましょう。
ただし、社会保険や税金のシステムは国ごとに大きくルールが異なるため、理解が得づらいのが難点です。
加入内容や給与からの控除についても丁寧に説明し、後々のトラブルを予防しましょう。
在留資格の範囲外の業務に従事させない
外国人社員を雇用する際には、在留資格で認められた活動の範囲内でのみ業務を任せましょう。
在留資格には、それぞれ就労可能な職種、時間、活動内容が定められており、在留資格で認められた活動範囲を超える業務は不法就労に該当します。
社員本人だけでなく企業側にも法的責任が生じる可能性があるので、コンプライアンス徹底が必須です。
6. まとめ|外国籍社員の受け入れは専門サポートの活用でリスクを最小化
外国籍社員の採用や在留資格手続きは、法令遵守、書類準備、審査対応など、企業にとって負担の大きい業務です。
特に、在留資格の確認や変更手続きなどは専門知識が求められ、慣れていない企業にとっては大きな負担となります。
こうした課題を解消するために、外国籍社員受け入れを専門とする外部サポートの活用が有効です。
リロケーション・インターナショナルは、東証プライム上場・リログループ傘下の企業として豊富な実績を持ち、外国籍社員の受け入れをワンストップでサポートしています。
提供サービス例:
- 在留資格の取得・更新・変更手続き
- 外国籍社員の生活立ち上げ支援
- 企業の受け入れ体制構築支援
- コンプライアンスリスクの事前予防
外国籍社員の採用や在留資格手続きで不安がある企業様は、お気軽にご相談ください。
経験豊富な専門家が企業の状況に応じた最適なサポートを行い、安心・安全な外国籍社員の雇用を実現します。
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