2022年以降の育児・介護休業法改正により、男性育休の取得促進や分割取得が進み、企業には制度運用の見直しが求められています。一方で「取得率が上がらない」「復職不安による離職」「事務手続きの煩雑さ」といった課題は依然として多くの企業で発生しています。
本記事では、育児休業制度の基本から最新トレンド、運用上の課題、そして福利厚生サービスを活用した支援策まで、総務・人事担当者が押さえるべきポイントを整理します。
目次
1. 育児休業の基本と2025年以降の最新トレンド
まずは、担当者が必ず押さえておくべき「育児休業」の基本と、近年の法改正による変更点を整理します。
1-1. 「育児休業」と「育児休暇」の違い
混同されがちな言葉に「育児休業」と「育児休暇」がありますが、両者は性質がまったく異なります。
育児休業(法律に基づく制度)
・育児・介護休業法に基づく公的制度
・原則1歳まで取得可能(最長2歳まで延長可)
・要件を満たす申し出の場合、企業は原則拒否できない
・育児休業給付金や社会保険料免除の対象
育児休暇(企業独自の制度)
・企業が任意で設計する福利厚生制度
・導入有無、有給/無給、取得条件などは企業が自由に設定
・出産時の特別休暇、子の行事参加休暇などが該当
企業はまず法的義務である「育児休業」を確実に運用したうえで、自社の魅力づけとして「育児休暇」を上乗せすることが採用競争力向上につながります。
1-2. 育児休業の取得条件・期間と「産後パパ育休」

2022年4月1日施行の改正により、有期雇用者の「継続雇用1年以上」要件が撤廃され、より多くの従業員が対象となりました。
育児休業の主な取得条件と期間
対象者は同一事業主に雇用されている労働者で、原則1歳まで取得可能です。ただし、以下の事情がある場合は延長が認められます。
- 1歳6カ月まで延長:1歳時点で保育所に入所できない場合など。
- 2歳まで延長:1歳6カ月時点でなお保育所に入所できない場合など。
- パパ・ママ育休プラス:両親がともに育休を取得する場合、子どもが1歳2カ月になるまで期間を延長できる制度。
産後パパ育休(出生時育児休業)
2022年10月に新設された「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、男性の育休取得を促すことを目的として設けられた制度です。
- 期間:子どもの出生後8週間以内。
- 日数: 4週間を上限に、2回まで分割して取得することが可能。
- 特徴: 2回に分割して取得することが原則ですが、分割せずにまとめて取得することも可能。出産直後のサポート、里帰りからの帰宅時、妻の職場復帰時期など、各家庭の状況に合わせた柔軟な使い方ができます。
1-3. 担当者が押さえるべき「申請書類」と「手続き」の全容
育児休業の運用では、育児休業申出書の受領、社会保険料免除手続き、育児休業給付金申請、取得状況・期限の管理などが必要です。電子申請も可能ですが、対象者管理やスケジュール管理は煩雑なため、社内フローの整備が不可欠です。
1-4. 2025年以降の法改正とトレンド
育児・介護休業法は頻繁に改正が行われています。2025年4月から、育児休業等の取得状況の公表義務の対象が「300人超」へ拡大されました。
また、出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金は2025年4月1日から施行されました。
さらに2025年10月1日からは、3歳~就学前の子を養育する労働者について、事業主は「5つの選択肢から2つ以上の措置を選んで講ずる」ことが必要とされるなど、段階的に支援拡充が施行されています。
企業は、法改正を単なる義務対応ではなく、「企業価値向上のチャンス」と捉えることが重要です。
2. 制度導入後に直面する「運用の壁」と、企業の隠れたリスク
法律に基づいた制度を整備し、就業規則を変更しただけでは、育児休業が組織に定着するとは限りません。多くの企業が直面するのは、制度という「ハード」ではなく、それを運用する人の意識や環境という「ソフト」の課題です。
2-1. 男性育休を阻む職場環境と「パタハラ」
「産後パパ育休」制度ができても、実際の取得率が伸び悩むケースがあります。その最大の要因は、職場内の意識改革の遅れです。
「男が育休なんて」「忙しい時期に休まれると困る」といった育休取得を妨げる言動は、パタハラ(パタニティ・ハラスメント)に該当し得ます。これらは取得を希望する従業員の意欲を削る要因となります。
企業側には、育休取得者の業務をカバーする体制づくりや、業務属人化の解消といった業務フローの見直しが求められます。
2-2. 休業中のコミュニケーション不足が生む復職不安
育休中の従業員にとって最大の敵は「孤独」と「情報遮断」です。社会との接点が減り、会社の状況が分からなくなることで、「自分の席はあるのだろうか」「今のスキルで復職してついていけるだろうか」という復職後の配置・キャリアに関する不安が増大します。
企業側も、「休んでいる従業員に連絡するのは迷惑ではないか」と遠慮してしまい、結果としてコミュニケーションが希薄になりがちです。この心理的な距離の広がりが、復職直前の退職や、復職後の早期離職につながる「隠れたリスク」となります。
定期的な情報提供や、休業中でも会社とのつながりを感じられる仕組みがなければ、優秀な人材をつなぎ止めることは難しくなります。
2-3. 意向確認・周知義務化に伴う業務負荷
2022年の法改正により、妊娠・出産を申し出た従業員に対する「個別の制度周知」と「取得意向確認」が企業に義務づけられました。
これは非常に重要なプロセスですが、人事担当者にとっては業務負荷の増大を意味します。
「誰に」「いつ」「何を」説明したかを記録し、対象者のライフプランに合わせて適切なアドバイスを行うには、専門知識と丁寧な対応が必要です。通常業務に加え、これらの個別対応を行うことは、限られた人員のリソースを圧迫し、コア業務への集中を阻害する要因となりかねません。
3. 福利厚生サービスが実現する「育休支援」の新しい形

育児休業制度を整備しても、の実際の運用段階では「情報提供の不足」「復職不安の解消」「突発的な育児対応への支援」など、多くの課題が残ります。こうした背景から、近年は福利厚生アウトソーシングサービスを活用して育児支援を強化する企業が増加 しています。
特に、国内シェアNo.1の実績を持つリロクラブの「福利厚生倶楽部」をはじめ、複数の福利厚生アウトソーシングサービスが育児支援メニューを拡充しており、企業が自社だけでは提供しきれないサポートを補完する存在として注目されています。外部サービスを活用することで、企業は「休業中の情報提供」「復職支援」「従業員エンゲージメント向上」といった重要な育休支援を、効率的かつ継続的に実現できるようになります。
3-1.休業中の孤独感・情報格差を解消する「育児支援コンテンツ」の役割
育児休業中の従業員は、企業との接点が減ることで心理的な孤立を感じやすくなります。特に初めての育児では、行政手続き・保育園探し・子育ての悩みなど、情報収集に多くの時間を要します。
福利厚生アウトソーシングサービスの中には、育児中の従業員向けに以下のような情報を体系的にまとめた「育児支援サイト」や「育児コンテンツ」を提供するものがあります。
提供される主な情報
・公的制度の最新情報(育児休業給付金、社会保険料免除、自治体の支援制度など)
・自治体の乳幼児向けサービス(健診、相談窓口、地域の子育て支援施設)
・保育園・幼稚園の情報検索
・復職準備に役立つチェックリスト
・育児の専門家によるコラム・動画
こうした情報が一箇所に集約されていることで、従業員は必要な情報を効率的に得られ、育児休業中の不安を軽減できます。
企業側のメリット
企業が独自に同様のサイトを構築する場合、「情報更新の手間」「法改正への対応」「コンテンツ制作コスト」といった負担が大きくなります。
アウトソーシングを活用すれば、最新情報を自動的に提供できる仕組みを低コストで維持でき、従業員との心理的距離を縮める効果が期待できます。
3-2. 一時保育・ベビーシッター補助が復職後の生活を支える
育休からの復職時や、復職後の共働き生活において、最大のハードルとなるのが「突発的な事態への対応」です。子どもの急な発熱、保育園からの呼び出し、残業や出張でお迎えに間に合わない、祖父母のサポートが得られない——こうした状況は避けられず、対応できる選択肢があるかどうかが、復職後の働き方に大きく影響します。
代表的な支援メニュー
福利厚生アウトソーシングサービスでは、以下のような実用的な支援が提供されることがあります。
- 一時保育:急な予定や保育園の預かり時間外に対応できるため、復職後の働き方を安定させる助けになります。
- ベビーシッターの割引・補助:自宅での保育サポートを手軽に利用でき、突発的な残業や出張にも柔軟に対応しやすくなります。
- 病児保育サービスとの連携:子どもが体調不良の際でも預け先を確保しやすく、仕事を休まざるを得ない状況を減らす効果があります。
- 育児用品のレンタル・購入割引:ベビーカーやチャイルドシートなど高額になりがちな育児用品の負担を軽減し、経済的なサポートにつながります。
これらの経済的支援は、従業員の「手取り」を実質的に増やす効果があるだけでなく、「いざというときに頼れるサービスがある」という心理的安心感を生み、復職後のキャリア継続を強力に後押しします。
企業側のメリット
・従業員の突発的な欠勤を減らせる
・復職後の離職率を下げられる
・育児と仕事の両立を支援する企業姿勢を示せる
特に中小企業では、こうした支援を自社単独で整備するのは難しいため、福利厚生サービスの活用が効果的です。
3-3. 育休中も福利厚生を利用できることがもたらす「帰属意識」
育児休業中は、会社との接点が減ることで「自分は組織から離れているのでは」という不安を抱きやすくなります。そのため、育休中でも福利厚生を利用できる仕組みは、従業員の帰属意識を維持するうえで非常に重要です。
育児休業中に利用されやすい福利厚生例
・育児の合間のリフレッシュに使うカフェやレストランの割引
・レジャー施設や旅行の割引
・日用品・生活サービスの優待
・家族向けイベントやオンライン講座
日常生活の中で「会社の福利厚生を使っている」という実感があると、従業員は「会社に大切にされている」と感じやすくなり、復職へのモチベーションにもつながります。
企業側のメリット
・育休中の従業員との心理的距離を縮められる
・復職意欲の維持
・企業への信頼感・愛着の向上
福利厚生は「休業中の従業員をつなぎ止める」ための重要なインフラとして機能します。
4. 戦略的な育児支援がもたらす「採用差別化」とエンゲージメント向上
育児休業制度の充実と適切な運用は、従業員のためだけではなく、企業の競争力を高める戦略的施策でもあります。労働人口が減少する日本において、育児支援の充実は「採用力」「定着率」「企業ブランド」を左右する重要な要素です。
4-1. 福利厚生の充実がエンゲージメントを劇的に引き上げる
福利厚生を「コスト」ではなく、人材への「投資」と捉える人的資本経営の考え方が広まっています。
実際に、オフィス環境や福利厚生の強化に取り組んだ株式会社イトーキの事例では、従業員エンゲージメントスコアが2024年度に82.5%となり、前年より7.8%上昇したとの成果が公表されています。
従業員は、給与の額面だけでなく、「この会社は自分たちの生活や家族を大切にしてくれるか」という姿勢を敏感に感じ取ります。また、家庭や生活を支援する姿勢が信頼につながり、育児・介護などライフイベントに寄り添うことで安心感も生まれます。
特に中小企業では、パッケージ型の福利厚生サービスを導入することで、大企業並みの充実した制度を低コストで整備できるため、費用対効果の高い施策となります。
4-2. 採用市場での評価向上と女性活躍推進への相乗効果
育児支援を含めた福利厚生を充実させることで、求職者から「ホワイト企業」と評価されやすく、育児世代の応募増加も期待できます。また、育児支援は女性活躍推進や健康経営とも密接に関わります。
・育児支援 → 女性のキャリア継続 → 管理職比率の向上
・育児支援 → 従業員の健康維持 → 生産性向上
・育児支援 → 多様な働き方の実現 → 組織の柔軟性向上
上記のような相乗効果も期待でき、育児支援は単なる福利厚生ではなく、企業の持続的成長を支える戦略的投資といえます。
まとめ
育児休業制度は、法令対応のためだけに整備する「守りの制度」ではありません。従業員が安心して子育てと仕事を両立できる環境を整えることは、エンゲージメント向上、離職防止、採用力強化につながる「攻めの戦略」です。
しかし、制度運用・情報提供・復職支援をすべて自社で賄うのは容易ではありません。そのため、多くの企業が福利厚生アウトソーシングサービスを活用し、効率的かつ効果的な育児支援体制を構築しています。
福利厚生アウトソーシングサービスの中でも、リロクラブ(福利厚生倶楽部)は国内シェアNo.1の実績を持ち、育児支援メニューの充実度に定評があります。
・育児中の従業員を支える専門コンテンツ
・一時保育・ベビーシッターの優待や育児用品の割引
・休業中も利用できる幅広い福利厚生メニュー
・業種・規模を問わず導入できる柔軟な設計
・導入企業の豊富な成功事例
「休業中も会社に支えられている」という実感を従業員に届けられる点は、多くの企業が評価するポイントです。
育休をきっかけに離職が生まれる組織ではなく、育休をきっかけに会社への愛着が深まる組織へ。次世代の育児支援体制を検討する企業は、是非リロクラブのサービスをチェックしてみてください。
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