グローバル化が加速する現代において、優秀な外国人材の獲得は日本企業の成長に不可欠な要素となっています。しかし、多くの企業が採用活動に力を入れる一方で、採用後の「受け入れ態勢」、特に日本特有の「住居」の問題でつまずいてしまうケースが後を絶ちません。「内定を出したのに、住む場所が決まらずに来日が遅れる」「本人が探した部屋の審査が通らず、入社前に心が折れてしまう」「初期費用の工面ができず、金銭トラブルの火種になる」──こうした外国人特有の悩みは、企業が想定している以上に深刻であり、個人の自助努力だけで解決させるには限界があります。
法務省の調査によると、日本で住居を探した外国人の約4割が入居拒否を経験しているという厳しい現実があります。衣食住の基盤である「住居」の支援を怠ると、日本で働くことへの不安だけでなく、企業への不信感にも直結します。だからこそ、企業による能動的な住居支援は、単なる「福利厚生」の枠を超え、優秀な人材を確保し、長く定着してもらうための極めて重要な「経営戦略」として捉え直す必要があります。
本記事では、外国人が日本社会で直面している住居探しの過酷な現状と課題を詳細に整理し、なぜ企業介入が不可欠なのかを紐解きます。その上で、人事担当者の業務負担を劇的に減らしつつ、スムーズな住居確保を実現する方法について徹底解説します。
目次
1. 外国人の住居探しにおける現状と課題
2024年末時点で在留外国人数は376万8,977人と過去最高を更新(前年比10.5%増)しましたが、最新の2025年6月末時点では約396万人に達し、ついに400万人台に迫る勢いとなっています。日本の労働市場において外国人の存在はもはや欠かせないものとなっていますが、彼らを受け入れるための「住環境」の整備は、人材の流入スピードに追いついていないのが実情です。
出典:出入国在留管理庁「令和6年末現在における在留外国人数について」
1-1. 「外国人」を理由に入居できない実態
日本人が部屋を探す場合、収入や勤務先がしっかりしていれば、入居審査で落とされることはそう多くありません。しかし、外国人の場合は事情が全く異なります。法務省の「外国人住民調査報告書(平成28年度)」によると、日本で住居を探した経験のある外国人のうち、39.8%が「外国人であることを理由に入居を断られた」と回答しています。
この数字の裏には、日本の不動産オーナーや管理会社が抱く「漠然とした不安」が存在します。「日本語が通じず、意思疎通ができないのではないか」「家賃を滞納したまま帰国されてしまうのではないか」「ゴミ出しや騒音などで近隣住民とトラブルになるのではないか」といった懸念から、たとえ日本語が流暢で、日本の大手企業に正社員として勤務している外国人であっても、国籍だけで判断され、内見すらさせてもらえない「門前払い」のケースが横行しています。不動産仲介会社の窓口で、「外国人可」の物件リストを出してもらったとたん、選択肢が通常の10分の1以下になってしまうことも珍しくありません。この「入口での拒絶」は、希望を持って来日した外国人にとって大きな心理的ダメージとなります。
1-2. 住居契約を阻む「保証人」と「言語」の壁
運良く「外国人可」の物件が見つかったとしても、次に立ちはだかるのが契約手続きの複雑さと「連帯保証人」の壁です。日本の賃貸契約では、伝統的に連帯保証人を求められることが一般的ですが、来日直後の外国人に、日本在住で一定の収入がある日本人の保証人を用意させることは、実質的に不可能です。
近年では保証会社を利用するケースが増えていますが、保証会社の審査においても「緊急連絡先として、日本在住で日本語が話せる親族や知人」を求められることが多く、ここでも「日本に頼れる人がいない」という壁にぶつかります。さらに、契約書や重要事項説明書は、専門的な法律用語が多用された日本語で書かれていることがほとんどです。「敷金・礼金」という日本独自の商習慣、「更新料」の意味、「原状回復義務」の範囲などを正確に理解することは極めて困難です。内容を十分に理解しないまま契約書にサインし、退去時に高額な修繕費用を請求されたり、更新時期にトラブルになったりする事例も後を絶ちません。
2. 企業が外国人の住居支援を行うメリット

企業主導で外国人の住居を確保することは、単なる親切心ではなく、企業側にとっても合理的かつ大きなメリットをもたらします。
2-1. 住居の安定は早期離職防止に直結する
衣食住の中でも「住」は生活の基盤であり、精神的な安定に直結します。住む場所が定まらない、あるいは職場から遠く離れた劣悪な環境で生活している状態では、仕事で高いパフォーマンスを発揮することはできません。「契約更新を断られたらどうしよう」「設備の不具合を大家さんにうまく伝えられない」といったプライベートな不安は、業務への集中力を削ぎ、モチベーションの低下を招きます。
逆に言えば、来日と同時に快適で安全な住居が用意されていれば、外国人は安心して業務の習得や日本語の学習、地域社会への適応に専念できます。企業が住居を手配してくれるという事実は、「自分はこの会社に大切にされている」という強い実感(エンゲージメント)を生み、組織への帰属意識を高めます。
また、特定技能1号の在留資格を持つ外国人を雇用する場合、企業(特定技能所属機関)には住居確保の支援等が義務付けられていますが、法的義務がない在留資格(技術・人文知識・国際業務など)であっても、同等の支援を行うことが、激化する人材獲得競争における強力な武器となります。
出入国在留管理庁が実施した「特定技能制度に関するアンケート」では、特定技能外国人が来日前に不安だったことの上位に「住居の確保」が挙げられ、来日後に困ったこととしても「住まい探し」や「家賃負担」が高い割合を占めています。これは、外国人材にとって住居支援が給与条件と並ぶ重要な要素であり、企業選びや入社後の定着に直結することを示しています。
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度の運用状況に関するアンケート調査」(2023年公表)
2-2. トラブル回避のための住居ルール指導
企業が契約主体(借上げ社宅)となり、管理に関与することで、入居後のトラブルリスクをコントロールできるという点も大きなメリットです。
外国人が日本の独特な生活ルール(燃えるゴミ・燃えないゴミの詳細な分別、収集日の厳守、夜間の騒音マナー、共用部での振る舞い、挨拶の習慣など)を知らずにトラブルを起こした場合、個人契約であれば本人が直接近隣住民や管理会社と対峙しなければなりません。言葉の壁も相まって問題がこじれ、最悪の場合は警察沙汰になったり、強制退去を求められたりして、業務に支障が出る可能性もあります。
企業が介入していれば、入居時に日本の生活習慣に関するオリエンテーションを行ったり、多言語のルールブックを配布したりすることで、トラブルを未然に防ぐ教育が可能です。また、万が一トラブルが発生した際も、企業が窓口となることで事態を迅速に収拾し、大家や近隣との信頼関係を維持することができます。地域社会と良好な関係を築くことは、企業の社会的信用(CSR)を守ることにもつながります。
3. 外国人の住居手配で人事が直面する業務負担
企業による支援の重要性は明白ですが、人事・総務担当者が自力ですべての手配を行うには膨大な工数が必要となります。
3-1. 一般賃貸での住居探しが難航する理由
一般的な賃貸仲介店舗(街の不動産屋さん)は、主に日本人個人客を対象としたビジネスを行っています。そのため、人事担当者が「外国人社員のための社宅を探している」と相談しても、外国人可の物件在庫自体が少なく、なかなか条件に合う物件が見つかりません。
何件も電話をかけて空室状況を確認し、内見の手配をし、いざ申し込みを入れても、保証会社の審査やオーナー審査で「外国人は不可」「法人の内容確認に時間がかかる」と落とされてしまう──この「探しては断られる」繰り返しの作業は、人事担当者の精神的・時間的リソースを大きく奪います。特に、春の繁忙期や、複数名の新入社員を同時に受け入れる際には、通常の人事採用業務や労務管理業務を圧迫するほどの負担となります。
3-2. 家具手配やインフラ契約の手間
苦労して物件を契約した後も、業務は終わりません。むしろ、そこからが「生活立ち上げ」業務のスタートです。日本の通常の賃貸物件は、照明器具やエアコン以外は「空っぽ」の状態です。外国人が来日当日から生活を始めるためには、ベッド、寝具、カーテン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、炊飯器、テーブルなどの家具家電を一式買い揃え、搬入・設置まで完了させておく必要があります。
さらに、電気・ガス・水道といったライフラインの開通手続きや、インターネット回線の契約も必要です。これらをそれぞれの業者に手配し、立ち合いの日程を本人の代わりに調整し、支払いを管理する作業は非常に煩雑です。
また、退去時にはこれらを解約し、設置した家具家電を廃棄・撤去またはリサイクル手配する必要があります。特に大型家具の処分はコストも手間もかかります。これらの「見えない業務」の積み重ねが、人事部の長時間労働を招いている原因の一つとなっています。
4. 外国人住居の課題を解決する「家具付き賃貸」

こうした悩みを解決するサービスとして最近注目されているのが、法人専門の不動産会社が提供する「家具付き賃貸」です。ここでは、東証プライム上場企業であるリログループの100%子会社として、企業の寮・社宅に特化したサービスを展開する「株式会社リロエステート」を例に、「家具付き賃貸」の特徴やメリットを解説します。
4-1.住居初期費用の削減ができる
リロエステートが提供する「リロの家具付き賃貸」は、企業が選んだ一般の賃貸物件に、同社が必要な家具・家電をあらかじめ設置した状態で貸し出すサービスです。外国人採用が加速する近年、外国人を採用する企業様から特に高い支持を得ています。
通常、家具付き物件(マンスリーマンション等)は賃料が割高になりがちですが、同サービスでは、通常の賃貸物件をベースにするため、リーズナブルな賃料設定が可能になります。
また、家具・家電の購入費用、配送費、設置の手間が一切不要になるため、初期コストを大幅に削減できます。
さらに、このサービスには「会計上のメリット」もあります。家具・家電の費用が家賃に含まれる形で処理できるため、企業側で家具を固定資産として管理・減価償却する必要がありません。また、退去時の家具・家電撤去もリロエステートが行うため、廃棄処分の手配やコストもかかりません。外国人社員にとっては、「カバン一つで来日して、その日から快適な生活が始められる」という最高の待遇となり、企業にとっては「手間とコストの削減」を実現できる、双方にメリットのある仕組みです。
4-2. 法人専門ならではの審査力と多言語対応
法人専門の不動産会社ならではのビジネスモデルとして「企業間相互利用」があります。これは、個人オーナーと契約するのではなく、企業の遊休資産(元社員寮など)や、その不動産会社が管理する物件を企業間で貸し借りする仕組みです。
このモデルの最大の特徴は、貸主も借主も「企業」である点です。貸主がその不動産会社となるため、個人の属性(国籍など)による根拠のない入居拒否が起こりにくくなります。
リロエステートも「企業間相互利用」を促進しており、リログループの信用力が背景にあるため審査も極めてスムーズで、物件決定から入居までのリードタイムを大幅に短縮できます。
また、リロエステートには外国人対応に特化した専門チームが存在し、英語対応可能なバイリンガルスタッフが物件案内から契約説明までをサポートします。日本の生活ルール(ゴミ出しや騒音など)についても、入居時に丁寧にガイダンスを行うため、入居後のトラブルリスクを最小限に抑えることができます。外国人社員が母国語または英語で契約内容を理解できることは、大きな安心感につながります。
まとめ
少子高齢化が進む日本において、外国人材の力は企業の成長にとっての希望です。しかし、彼らが能力を最大限に発揮できるかどうかは、受け入れ側の環境整備にかかっています。
法務省のデータが示す通り、個人での住居探しには差別や偏見といった高い壁が存在します。安心して帰れる「我が家」を提供することは、企業が彼らに示す最初の誠意であり、信頼関係を築くための第一歩です。住環境への投資は、離職率の低下や採用ブランディングの向上といった形で、必ず企業にリターンをもたらします。
そのような中で、企業が家具付き物件の活用を進めることは、単なる住居支援を超えた有効な人材戦略となります。
人事担当者が抱える「物件が見つからない」「家具の手配が大変」「契約手続きが複雑」「マイナンバー管理が面倒」といった課題は、リロエステートであればワンストップで解決可能です。外国人社員が安心して働き、長く活躍できる環境を作るために、まずはお気軽にリロエステートへご相談ください。
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