共働き世帯の増加や価値観の変化により、行政による育児支援の拡充は、いまや企業にとっても無視できない前提条件となりました。
こうした流れの中で、2025年には関連法の改正が行われ、企業の取り組みにも大きな影響を与えています。
しかし、公的支援には地域差や制度の限界が存在し、従業員の不公平感や離職リスクにつながるケースも少なくありません。
本記事では、2025年の法改正を踏まえた最新動向と、企業が独自の価値として提供できる子育て支援のあり方を、総務人事の視点から詳しく解説します。
1. 2025年法改正が示す「育児支援の新基準」
2025年4月施行の改正育児・介護休業法は、単なる制度の拡充ではなく、「企業がどこまで育児と仕事の両立を支援できるか」という新たな基準を示すものとなりました。これまで“努力義務”にとどまっていた領域が“義務化”へと移行し、企業の姿勢そのものが採用力・定着率に直結する時代に入っています。
共働き・育児世帯の増加と社会意識の変化
総務省統計局「労働力調査」(2023年)によると、共働き世帯は年々増加し、現在では片働き世帯の約2倍に達しています。「家庭内の工夫」だけで育児を乗り切ることが難しくなり、企業がどれだけ柔軟な働き方や支援制度を整えているかが、従業員のキャリア継続に直結する時代となりました。
特に若年層や専門職ほど、「育児と両立できる職場かどうか」を入社前から重視する傾向が強まっており、企業の育児支援は採用力に直結する要素となっています。
こうした背景を踏まえ、2025年4月から改正育児・介護休業法が段階的に施行され、企業に求められる役割も大きく拡張されました。
子の看護等休暇の拡大と柔軟な働き方の義務化
今回の改正では、子の看護休暇の対象年齢が小学校3年生修了まで拡大され、取得理由には感染症による学級閉鎖や入園・卒園行事など、実際の育児場面に即した内容が追加され ました。
また、残業免除の対象が小学校就学前まで広がり、短時間勤務の代替措置としてテレワークが認められるなど、柔軟な働き方を支える制度が強化されています。
さらに、妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前の適切な時期に、企業は従業員の意向確認を行う義務を負うようになりました。
制度が「あるだけ」では不十分で、実際に利用される環境づくりが求められているのです。
2. 公的支援の拡充と家計への実質的メリット
公的支援は、育児と仕事の両立を支える「最低限のセーフティネット」として年々強化されています。
特に2025年の法改正では、育児休業中の所得補償や短時間勤務者への給付など、家計面の不安を軽減する施策が大きく前進しました。これらの制度は従業員の離職防止に直結する一方で、制度の理解不足や運用の複雑さから十分に活用されていないケースもあります。
企業としては、公的支援の内容を正しく把握し、従業員に分かりやすく伝えることが重要です。
育児休業給付の実質手取りは8割前後に
育児休業給付とは、育児休業中に雇用保険から支給される所得補償制度です。
育休中は給与が支払われないケースが一般的ですが、従業員が安心して育休を取得できるよう、国が一定割合の給付金を支給する仕組みになっています。
給付率67%の“実質手取り8割”とは
「育休開始から最初の180日(約6か月)間は、それまでのげ月給の約3分の2(67%)が手当として戻ってくる」という制度ですが、ここで重要なのは、給付は非課税であることと、一定の条件下では社会保険料が免除されることです。
そのため、給与としての“手取り額”と比較すると、実質的には8割前後を維持できるケースが多いとされています。この点は従業員にとって、育休取得に対する心理的なハードルを下げる重要な要素です。
2025年からは“最大10割相当”の仕組みも導入さらに2025年4月からは、夫婦双方が出生直後に育児休業(産後パパ育休を含む)を取得した場合、国(厚生労働省)が支給する 「育児休業給付」と「出生時育児休業給付金」 の双方が上乗せされる仕組みが導入されました。これにより、出生後最大28日間については、両方の給付を組み合わせることで“手取りベースで最大10割相当を目指せる”制度設計となっています。
この新しい給付上乗せは、育休取得の促進だけでなく、男性育休の普及を後押しする狙いも含まれています。
新設された「育児時短就業給付」
加えて注目すべきなのが、「育児時短就業給付」の創設です。
これまで短時間勤務を選択すると賃金が下がる一方で、それを補う公的給付は存在しませんでした。
新制度では、2歳未満の子を養育するために時短勤務を行う場合、時短後に支払われた賃金の10%が給付されます。
これにより、フルタイム復帰までの移行期間における家計負担が軽減され、無理のない働き方を選択しやすくなります。
これらの公的支援の拡充により、育児期の収入不安は確実に軽減されつつあります。
ただし、病児保育の自己負担や突発的な休みへの対応など、公的支援だけでは解決できない課題は依然として残っています。
ここを企業がどう補完するかが、従業員の定着率を左右するポイントとなります。
3. 自治体格差が生む不公平感と企業の役割

行政による子育て支援は年々拡充していますが、その内容は自治体ごとに大きな差があります。
居住地や勤務地の違いによって受けられる公的サービスに差が生じるこの“自治体格差”は、従業員の生活満足度や転居意向に影響し、企業にとっても見過ごせない課題となっています。
ここでは、自治体ごとの支援差によって生じる課題を整理しながら、企業が福利厚生を活用して、住んでいる場所に左右されない支援体制を整える重要性を解説します。
「都心の本社 VS 地方の拠点」で生まれる、子育て支援の埋めがたい格差
子育て支援における大きな課題の一つが、自治体によって公的サービスの内容や手厚さが大きく異なることです。
特に都心部では、国の制度に加えて自治体独自の支援が充実しているケースが多く、子育て世帯にとって経済的・心理的な安心感を得やすい環境が整っています。
例えば東京都江戸川区では、
- 0歳児を対象とした独自の月額支給
- 学校給食の無償化
といった施策が実施されており、子どもが生まれた直後から継続的な家計支援を受けられる仕組みが整備されています。
一方で、同じ企業に所属していても、地方拠点に勤務している従業員や、支援の少ない自治体に住む従業員は、こうした上乗せ支援を受けられない場合があります。
その結果、「同じ仕事をしているのに、住んでいる場所によって子育ての負担が大きく違う」という不公平感が生まれやすくなります。
この差は単なる金銭的な問題にとどまりません。
- 将来設計の立てにくい
- 子育てと仕事の両立に対する不安が増す
- 都市部への転出や離職を検討するきっかけになる
といった形で、従業員のキャリア選択や企業へのエンゲージメントにも影響を及ぼします。
さらに、待機児童の状況、病児保育の利用しやすさ、教育環境の整備度などは、企業単体では解決が難しい領域です。
だからこそ企業には、自治体任せにするのではなく、福利厚生を通じて「会社としてどこまで支えるのか」を明確にする姿勢が求められます。
居住地による不利を緩和し、どの拠点で働く従業員にも同じ安心感を提供できる環境を整えることは、地方拠点の定着率向上や組織全体のエンゲージメント強化につながる重要な戦略といえるでしょう。
従業員アンケートが示す「本当に求められる支援」
福利厚生を検討する際、どうしても制度の種類や導入数に目が向きがちです。
しかし、従業員が実際に価値を感じるのは「日々の生活の中で、どれだけ負担が軽くなるか」という実感です。
従業員アンケートを分析すると、特別感のある一度きりの制度よりも、毎月・毎日の支出に直接影響する“生活密着型の支援”ほど満足度が高い傾向がはっきりと見えてきます。
その代表例が、学校給食費の無償化など、継続的な家計負担を減らす施策です。
例えば品川区では、給食費の無償化をはじめとした独自の支援を実施しており、子どもが成長する過程で繰り返し発生する支出を抑える仕組みが整っています。
こうした制度は、一度きりの給付と異なり、「毎月確実に助かる」という安心感をもたらすため、家計全体の見通しを立てやすくする効果があります。
同様に、食費・日用品・子育て関連サービスなど、日常的に発生する費用が少しでも軽減される仕組みは、従業員にとって「会社が生活に寄り添ってくれている」と感じられる重要なポイントです。
実際のアンケートでも、「派手な制度より、日常で使える支援の方がありがたい」という声が多く寄せられています。
これは、従業員が求めているのが、短期的なメリットではなく、長期的に続く“生活密着型の福利厚生”であることを示しているといえるでしょう。
4. 中小企業の採用ブランディングとしての子育て支援

育児・介護休業法の改正により、企業には一定水準の育児支援が義務化されました。
しかし現場レベルでは、病児保育の自己負担、復職後に増える家事・育児の負担、突発的な休みへの対応など、公的制度だけでは解決しきれない課題が依然として残っています。
こうした“制度の隙間”にこそ、企業独自の支援が求められています。特に中小企業にとっては、実務的な負担に寄り添う支援を整えることが、採用力・定着率を高める「採用ブランディング」につながる重要なポイントです。
「どこに住むか」だけでなく「どこで働くか」が子育てのしやすさを左右する時代へ
これまで子育て環境は「どこに住むか」によって大きく左右されると考えられてきました。
しかし近年では、自治体の支援格差が広がる一方で、「どの企業で働くか」も子育てのしやすさを決める重要な要素になりつつあります。
法改正により最低限の育児支援は整いつつあるものの、
- 病児保育の自己負担
- 復職後の家事・育児の増加
- 子どもの急な体調不良への対応
など、公的支援だけではカバーしきれない課題は多く残っています。
特に中小企業では、制度対応を「義務だから整える」だけで終わらせてしまうと、採用市場での差別化にはつながりません。
一方で、こうした実務的な負担に踏み込んだ支援を提供できれば、「この会社なら長く働ける」という評価を得やすくなります。
自治体による支援格差を、企業の姿勢でどこまで補えるか。
ここが、これからの採用ブランディングにおける大きな分岐点になるといえるでしょう。
中小企業でも大企業並みのサポートを受けられるプラットフォームの存在
中小企業が育児支援を強化しようとした際に直面しやすいのが、「コスト」と「運用負担」の壁です。
自社独自で制度を設計し、提携先を探し、運用まで担うのは現実的ではありません。その結果、支援の必要性は理解していても、法対応の範囲にとどまってしまうケースが多く見られます。
こうした課題を解決する手段として注目されているのが、福利厚生サービスを“パッケージ化”して提供する外部プラットフォームの活用です。
これらのプラットフォームは、企業が個別に制度を作らなくても、
- 育児支援
- 日常生活のサポート
- 健康、医療
- 学習、自己啓発
など、幅広いサービスをまとめて利用できる仕組みを提供しています。
企業側は複雑な管理業務を抱える必要がなく、従業員は自分のライフスタイルに合った支援を自由に選べる点が大きなメリットです。
こうした外部プラットフォームの代表例として挙げられるのが、業界No.1の導入社数を誇る「福利厚生倶楽部(リロクラブ)」です。
福利厚生倶楽部は、育児支援をはじめ、日常・健康・学習まで幅広いサービスを低コストで利用でき、全国どこでも同水準のサポートを提供できます。
大企業だけが享受してきた福利厚生のスケールメリットを、中小企業でも取り入れられるようになったことで、「企業規模による支援格差」を埋める現実的な選択肢が生まれています。
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まとめ
企業にとっての子育て支援は「コスト」ではなく、全国規模で人材を確保するための「戦略投資」へと変化しています。
自治体ごとの支援格差が避けられない中、企業が独自に提供する福利厚生は、従業員の安心感と定着率を高める重要な役割を担います。福利厚生の外部サービスを活用すれば、中小企業でも大企業並みの育児支援を低コストで導入できます。
特に、リログループ傘下で長年にわたり福利厚生サービスを提供してきた 株式会社リロクラブ の「福利厚生倶楽部」は、全国どこでも均一のサポートを提供できる点で多くの企業から選ばれています。
豊富な導入実績と運用ノウハウを持つため、初めて福利厚生を強化したい企業でも安心して相談できます。
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